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現場を支える仕事 フィールドエンジニアとは?

フィールドエンジニアのすべて——初心者から目指せる現場技術者の世界

フィールドエンジニアとは? 基本から役割まで

フィールドエンジニアとは、さまざまな業種の現場に赴き、IT機器やネットワーク・産業用設備・医療機器などを設置し、トラブルを解決し、安定運用を支える技術者のことです。彼らの活動フィールドは幅広く、オフィスのパソコンから工場の制御装置、病院の医療システム、新興のスマートデバイスやEV充電スポットまで、多様な分野にわたっています。

通常、製品の販売やシステム導入後のサポートと言えば、電話やチャット、リモート操作がイメージされるかもしれません。しかし、現実には「現場でしか解決できない」現象や物理作業が多く存在します。そうした状況下、フィールドエンジニアは自らの手と知恵を駆使し、直接お客様の元へ赴いて課題に対処します。

技術力だけでなく、顧客への丁寧な説明や配慮、緊張した現場での冷静な判断力、人と現場環境に柔軟に適応するコミュニケーション能力も求められる仕事です。

フィールドエンジニアの実際の仕事内容

この職種の代表的な業務は、まず機器やシステムの設置、セットアップです。新しいパソコンやサーバの導入となれば、開梱・物理的な設置から各種ケーブル配線、ソフトウェアの導入や設定、初期トラブルのチェックまで幅広い作業を担当します。また、ネットワークの新設・拡張時には、構成設計から配線ルートの検討、設定や運用テストも行います。

常に付きまとうのが「突発的なトラブル対応」です。「プリンターが動かなくなった」「ネットワークが途切れた」「医療機器がエラーを出している」など、原因も現場ごと多種多様。不具合の原因究明とスピーディーな対策、時には応急処置と恒久対応案の切り分けまで、臨機応変な判断が重要となります。

加えて、業務の一つに定期メンテナンスもあります。点検や稼働チェック、部品の摩耗確認・交換や清掃だけでなく、故障を未然に防ぐためのアドバイスも現場で行います。
さらに、直接ユーザーと接するため、操作説明や個人ごとに異なる要望への対応、新しいサービスや製品への提案も日常茶飯事です。エンジニア自身が顧客との窓口となり、営業やコンサル的な役割を担うことも少なくありません。

サービスエンジニアとの違い

しばしば混同される「サービスエンジニア」との違いですが、フィールドエンジニアは特に「顧客先で実作業を行う現場型」である点が特徴です。一方サービスエンジニアは、拠点持ち込みや社内での修理・検査が主となるケースが多いのが実状です。たとえば大規模なネットワークの立ち上げではフィールドエンジニアが現地作業を主導し、その後の保守・修理ではサービスエンジニアがサポート対応を担当するという役割分担も見られます。

フィールドエンジニアが求められる背景

今やどの業界でもITや機械設備が欠かせず、機器の安定運用が企業の収益・安全・業務継続性に直結しています。とはいえ、リモート対応だけでは限界があり、実際に現場でしか判断できない不具合や調整作業が増加しています。現場で的確な対応が取れなければ、業務停止や安全リスクを招き、損失につながる場合もあります。そのため、迅速に現場へ駆けつけ、状況に応じた作業や判断ができるフィールドエンジニアの存在価値は、ますます高まっています。

必要なスキルや資格について

この職種でまず重視されるのは、現場の状況や顧客の要望を素早く把握し、相手に伝わる形で説明できるコミュニケーション能力です。単なる「説明上手」ではなく、相手の知識や状態にあわせ、混乱や不安の中でも安心してもらえる語りかけや表現力が問われます。
技術面でも、最低限のIT・ネットワーク・ハードウェアの知識は必須です。製品トラブルの現場では、原因がソフトにあるのかハードにあるのか、あるいはネットワークの物理障害なのかを短時間で見極め、対策を講じる専門的な技量が期待されます。

また、製品が多様化・高度化する昨今、WindowsやLinuxといったOS知識だけでなく、ネットワークの設定やトラブルシューティング、各業界ごとの特殊機器の仕様など、学び続ける姿勢も不可欠です。

資格については、必須ではないものの、ITパスポートや基本情報技術者などで基礎力を示せれば未経験でも入りやすくなります。さらにCCNAやMCPなどネットワーク系、クラウドやAI分野、あるいは電気工事士や医療機器情報コミュニケータのような業界特有の資格もキャリアアップで有利です。

未経験から始めるには

未経験者がフィールドエンジニアを目指す場合、まずITやネットワークに関する基礎知識を学ぶことが王道です。独学やスクール、オンラインコンテンツで知識習得を進め、初歩的な資格取得を目指すのがお勧めです。その後、カスタマーサポートやユーザーサポート、ヘルプデスクなど顧客対応経験を積むことで、トラブル対応力や応対マナーが身につきます。

未経験歓迎の求人を探し、しっかりしたOJTや研修のある企業を選ぶと安心です。現場で汗をかきつつ、経験の先輩から学び、自分なりの対応術やトラブル解決力を磨くことがキャリアアップの近道です。

フィールドエンジニアの現場の日常とやりがい

日々の現場はバリエーションに富みます。朝は自宅からそのままお客様の会社へ直行し、ネットワーク機器のメンテナンスや増設を担当。昼にはクリニックから突然のシステム障害連絡が入り、現地で深刻なトラブルシューティングに当たる——。夕方には再び別のオフィスのパソコン増設依頼に応えたり、本社へ戻って報告書を作成することもあります。

現場ごとで出会うトラブルや環境は異なり、決してマニュアル一辺倒で乗り切れるわけではありません。時には専門外の機器や現場独自の設定など、予想外の問題も。その分、自身の知恵や工夫によってトラブルを解決できた時、「助かった」「ありがとう」と直接感謝してもらえる場面は、エンジニアとしての大きなやりがいに繋がります。

現場を担当するうちに、頼りにしてくれる顧客や「今後もあなたにお願いしたい」と名指しされる存在になるエンジニアも珍しくありません。継続的に現場を任されることで関係性が深まり、自分が成長している実感も得られます。

フィールドエンジニアならではのキャリアと成長

フィールドエンジニアとして経験を積めば、マネージャーやリーダーといった管理職への昇進や、特定分野の“専門技術者”になる道も開けます。

また「現場で養った折衝力」や「顧客提案経験」を活かして、IT営業やカスタマーサクセス、コンサルティング職への転身も可能です。ネットワークやクラウド専門、IoT領域、医療・製造分野など、自分の強みを特化させてスペシャリストとなる例も多いです。

さらに近年では、独立してフリーランスのフィールドエンジニアとして高報酬で働く人もいますし、英語力を身に付ければ海外案件を担当するチャンスも広がります。

【業界ごとに異なる働き方】
オフィス向けのIT機器設置やビジネス向けネットワークだけでなく、医療現場では患者の命に関わる慎重な作業が不可欠です。製造現場ではFA機器やロボットなど、ものづくり最前線のダイナミズムが特徴です。

通信インフラ分野では24時間体制のトラブル対応も珍しくなく、基地局や通信網の保守に携わることで社会全体を支えているという手応えを感じられるでしょう。近年はIoTやAIを活用した新しい設備、EVインフラ、スマートホーム機器など、新技術・新サービスの導入現場が増えています。これからの社会で活躍できるスキル・経験が身につくのもこの職種の醍醐味です。

現場でよくある“困った”ときのプロの対処法

現場では「説明がなかなか伝わらない」「顧客が混乱している」「新製品の現地対応が初めて」など難題がつきものです。そんな時も、専門用語を易しい言葉に変え、図や写真を使ってイメージしやすくすることで円滑なコミュニケーションを心がけます。また、間に合わない部品があれば仮対策で乗り切り、必ず進捗・経過をマメに報告することで信頼を繋ぎます。新しい現場や製品に関しても、メーカーやベテランのサポート、同僚通しの情報共有を活かして柔軟に乗り越えていきます。このような「知識」「人柄」「ネットワーク」の総合力こそが、フィールドエンジニアの最大の武器です。

女性エンジニアの増加と多様な働き方

最近ではフィールドエンジニアとして活躍する女性も増加傾向です。細やかな作業力や丁寧な顧客対応が高く評価され、家庭と両立できる柔軟な勤務体制や、産休・育休制度の充実した企業も増えてきました。体力仕事というイメージが強い業界ですが、実際は機器の小型化やITツールの進化により、女性でも安心して長く働ける職場環境が整いつつあります。

今後の需要と業界動向

デジタルトランスフォーメーションの加速や社会インフラのスマート化、IoTやAIの普及により、現場で働ける技術者=フィールドエンジニアの価値はますます高まっています。一方で、勤務形態の多様化や技術の進歩にキャッチアップし続ける姿勢が求められる、という課題も残ります。勤務時間が不規則な場合や、緊急対応に追われるケースなどもあり、ワークライフバランスを意識した職場選びやストレスケアも長く活躍するコツです。

モチベーションを保つには

目標設定を持ち続けることが大切です。たとえば「次は上位資格を目指そう」「新しい機器にも挑戦しよう」といった明確なゴールを定めたり、トラブル解決で感謝の言葉をいただくたびに自信ややりがいを再確認するなど、日々の積み重ねが長く働き続ける力になります。また、社内外の仲間と知見を共有したり、勉強会・研修に積極的に参加して自分自身を更新し続けることも効果的です。

まとめ——フィールドエンジニアという道

フィールドエンジニアは、デジタル社会を支える「現場のプロ」として、さまざまな人・現場・課題に挑み続ける仕事です。毎日がルーティンワークだけではなく、新しい発見や自分の成長を感じられる刺激的な職種でもあります。

コミュニケーション力や現場での対応に自信がなくても、基礎から積み上げれば必ず成長できるフィールドがあります。幅広い業界で経験を積み、多彩なキャリアパスが選べる点も大きな魅力でしょう。

ぜひ、未知の現場や新技術にワクワクできる人、多くの人に頼られる存在になりたい人は、フィールドエンジニアという選択肢を検討してみてください。現場にしかない達成感や出会いが、あなたを大きく成長させてくれるはずです。

参照:フィールドエンジニアとは?Sky IT TOPICS

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